「名もなき復讐」
「哀しみ」が「哀しみ」を呼び起こし、残念ながらその「哀しみ」を救おうとする、必死の「愛情」も、また「哀しみ」に飲み込まれていく。
まさにどこを切り取っても、救いようのない「哀しみ」に包まれた韓国映画、「名もなき復讐」。
射撃の代表候補選手だった女性が復讐の鬼と化す!映画『名もなき復讐』予告編
獣のエゴが生み出した不運に、大事な自分の人生を苛まれた主人公を演じるのは、シン・ヒョンビン。
難しい役柄を終始切なく演じる、その演技力は観ている側に、常に語り掛けてくるようで、彼女の瞳が忘れられません。
その彼女を必死の「愛情」で救おうとするのは、モデル・アクション女優でもある、ユン・ソイ。
共感してはいけない感情を押し殺して、それでもなお、共感してしまう様を演じる役柄は、彼女の気高さとマッチして見応えがありました。
目を背けたくなる描写と、剥き出しのエゴイズムで、正直気持ちのいい映画ではありませんが、
誰にでも起こりうる、哀しいほど身勝手な運命を、まっすぐ生きようとした女性の視点で描いた韓国映画です。
誰も、何も、救えない気持ちが、「哀しい」ほど心に染みる映画です。
単なる復讐劇では終わらない脚本にも注目ですよ。
・・・でも、原題の方が奥行きがあっていいな(苦笑)
2015年製作/109分/韓国
原題: THE LOST CHOICES
原題: THE LOST CHOICES
評価 ★★★★☆