「暗殺 Assassination」
この映画の主題は、恐らく「愛」ではないはずなのに、いつまでも変わらない、その女優の凛とした美しさが観る者に「愛」の存在を感じさせずにはいられない、裏切りや宿命の人間模様を描いた韓国映画「暗殺」。
イ・ジョンジェ×チョン・ジヒョン×ハ・ジョンウ!映画『暗殺』日本オリジナル予告編
忌まわしき日本の歴史、日本統治下の上海などを舞台に繰り広げられる、哀しさだけが際立つ映画の展開。
難しい歴史など分からなくても、国家間の戦争が、一般の人々の何でもない日常を、辛く悲しい色で染めていくのは、人が生きるために、他の誰かの生きるためを犠牲にしていく生き物だということを証明してしまっているのでしょうか。
自分の人生を自分で決めることが出来ない時代の中、限られた命の時間の中で、精一杯懸命に生きようとする、凛と強く、可憐で美しい女性を演じるのはチョン・ジヒョン。
説明不要かもしれませんが、あの「猟奇的な彼女」(2003年)で超破壊的な立ち振る舞いと、その裏に見せる儚い乙女を、見事に演じた女優さんです。
大げさに言わして頂くならば、私の人生はこの映画「猟奇的な彼女」チョン・ジヒョンに出会っていなければ、全く違う人生になっていたかもしれない、と言える最も好きな女優さんです。
私事ですがこの映画に出会って、韓国映画の世界にどっぷりハマって(笑)、何やら思いつくままブログを書き始めて、いつの間にか多くの人に読んで頂いて、まだ当時馴染みのなかったWEBの世界で、その後生きてこれようとは(苦笑)
映画が人生を変えた。私の場合はまさにそうです。
彼女はこの映画「暗殺」で「猟奇的な彼女」に続いて、自身2度目となる大鐘賞の女優主演賞を受賞しています。 そんな彼女も現在は2児のお母さん。時間が流れるはずですね(笑)
チョン・ジヒョンのこの映画の中でもっとも好きなシーンは、ほんの、ひと時の安らぎの時間に、彼女が見せる、はにかむ様な笑顔が、その後の展開を考えて見てしまうと、
たまらなく切なく、たまらなく愛おしいです。
他にも「イルマーレ」「ラスト・プレゼント」で男性から見ても、かっこいい男性を演じたイ・ジョンジェが、最後まで太々しい憎まれ役を演じます。 またこれが腹立たしいんですわ(笑)
さらに「テロ・ライブ」では緊迫する状況下、完全に一人芝居とも言える演技を見せるハ・ジョンウ。この映画でも粗削りで、武骨なカッコよさを充分に魅せてくれます。 男性キャストふたりは「神と共に」でも共演。
不条理な時代に翻弄されて、それでも最後まで自分の人生を、「凛として」生きようとした人々を、豪華キャストで丁寧に描いた映画「暗殺」。
生々しい描写もたくさんあり、気持ちのいい映画ではないですが、演者が演じる!とはこういう事かと改めて再確認させてくれるお勧めの1本です。
是非チェックしてみてくださいね。
2015年製作/139分/R15+/韓国 原題:暗殺 Assassination
評価 ★★★★☆